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実世界の不動産価格と連動!デジタル不動産投資ができるParcl とは

実世界の不動産価格と連動!デジタル不動産投資ができるParcl とは

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年4月11日 00時00分

Parcl はブロックチェーン(Solana)ベースのデジタル不動産投資プラットフォームです。ユーザーは米国内の実際の不動産価格に連動したデジタル土地に投資することができます。Venice や SoHo など、さまざまなエリアの土地がトークンとして売買でき、他の仮想通貨と同じようにワンクリックで簡単に取引することができます。

Parcl 上の土地トークンは、実際の不動産の所有権に紐付いているわけではありません。アメリカの各地域の1平方フィートあたりの土地価格が公的な不動産の記録や取引履歴を基に算出され、それがトークンの価格となります。既存の現物不動産への直接投資、REIT やクラウドファンディングといった小口化商品と異なり、実物資産に対する権利を一切関連づけないことで、証券法の規制や面倒な手続きなく、非常に簡単で流動性が高い取引を実現しています。

Parcl 上でできること

1. 不動産トークンの購入

一般的な DEX のような UI で ステーブルコイン($USDC)と不動産トークンをスワップすることができます。不動産トークンの価格は、それぞれの地域の1平方フィートあたりの平均価格になります。例えば、Williamsburg, NY のトークン価格は2022年4月8日時点では 約3,911 USDC となっています。最低0.000001トークンからと非常に細かい単位で購入することができます。

2. 流動性マイニング

各地域のトークンとUSDCの流動性プールに、トークンペアを提供することで金利を得ることができます。一般的な流動性プールと同じく、プール内のシェア率に応じて手数料が分配され、提供した流動性はいつでも引き出すことができます。流動性プールの仕組みについてはこちらの記事で解説してますので、良かったら参考にしてください。

3. 不動産トークンのミント

UDSC を担保として預けることで、新しい Parcl トークン(不動産トークンのこと)をミントすることができます。サイト上では「Borrow(借入)」という表記になっており分かりづらいですが、これについては運営も「Mint」と表記を改めるか検討中だそうです。この仕組みが重要で、Parcl トークンは無尽蔵に作られるわけではなく、発行数量に見合った一定量以上の担保を基に作られることで、プロトコル全体の健全性を保っています。担保に預けている総額 / Parcl トークンのドル価値 を健全性比率と呼び、この比率が事前に定められた一定比率を下回ると、追加のParcl トークンを借り入れたり、担保を引き出したりすることはできず、追加の担保を預けるか、Parcl を返済することしかできません。このような十分な担保量をもとにトークンが発行されているかをチェックする仕組みは、ステーブルコインのスマートコントラクトと類似しています。健全性比率を下回らない範囲で、いつでも担保を引き出したり、追加でParclトークンを借りる(ミント)、あるいは返済(バーン)することができます。

シードラウンドで $ 4.1 M の資金調達を実施

Parcl は、2022年3月1日に$ 4.1 M の資金調達を実施したことを発表しました。Archetypeがリードし、Dragonfly Capital、Coinbase Ventures、Solana Ventures、Slow Ventures、Not Boring Capital、 ParaFi、Shima Capital、Tribe Capital、FJ Labsが参加しています。

Parcl の今後の展望

Parcl では、現在はアメリカの地域のトークンしか販売されていませんが、今後はグローバルな地域のトークンを取り扱うことを予定しています。Parcl は、不動産は安定的で魅力的なアセットクラスでありながら、金額が高いために資本力のある大口投資家が支配している市場であることを課題として挙げています。Parcl は不動産をデジタルで表現することで不動産の所有や取引に伴う負担なしに、誰もが不動産市場に参加する機会を提供すること目指しています。

総論

今回は、デジタル不動産投資プラットフォーム「Parcl」についてご紹介しました。記事執筆時点(2022年4月9日)では、まだテストネットで稼働しており、実際どのような使われ方をするかは未知数なものの、不動産権利とは切り離し、あくまで価格連動するトークンとしたアプローチは非常に面白いと思います。賃料収入を得られるわけではない点は通常の不動産投資と明確に異なる点ではありますが、通常のトークンと比べると価格が安定しやすいため、流動性マイニングでのいわゆる価格変動損失が小さいことなどメリットもあります。本番稼働以降、Parcl がどのような活用をされるのか、引き続きウォッチしたいと思います。

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