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ロンドン発の不動産トークン化プラットフォーム「Realbox」とは?

ロンドン発の不動産トークン化プラットフォーム「Realbox」とは?

Fumiya
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Entry - 初級2022年1月26日 00時00分

2022年1月20日、ブロックチェーンベースの不動産トークン化プラットフォーム「Realbox」がローンチを発表しました。少額から世界中の不動産に投資できる仕組みを作る目指すとのことですが、具体的にどのようなスキームを考えているのでしょうか。今回はこのプロジェクトの概要をご紹介します。

Realboxの概要

Realbox は、ブロックチェーンベースの不動産トークン化プラットフォームで、「不動産投資へのアクセスを民主化する」ことを目指しています。具体的には、不動産をNFT(Non-Fungible Token)に変換し、それをF-NFT(BSCのBEP20規格)として分割して販売する手段を提供します。(F-NFTについての詳しい記事はこちら)分割されたトークンの保有者は、該当する不動産の賃料収入やキャピタルゲインを得られます。これにより幅広い投資家に投資の機会を作ることができ、オーナーには新しい流動化の手段を提供します。最初は不動産をターゲットにしていますが、長期的には不動産以外の有形資産もトークン化できるようにするとしています。Realboxは、不動産トークン化のメリットを以下のように挙げています。

  • 参入障壁の低さ従来、多額の初期投資が必要だった資産でも、トークン化により、より多くの投資家に資産を分配することが可能になり、投資への参入障壁が低くなります。
  • 運用の効率化

    スマートコントラクトによって、コンプライアンスチェック、投資家のホワイトリスト登録、配当分配などの発行後に関するプロセスを自動化します。

  • 決済の容易性

    トークン化された不動産の取引は、従来の取引とは異なり、すぐに決済することが可能です。

  • データの透明性

    分散型台帳技術であるブロックチェーンは、単一の集中型データベースではなく、参加ノードのネットワークにデータが分散されているため、不変性とサイバー攻撃への耐性で知られています。取引情報はブロックチェーン上で追跡・可視化される一方、ブロックチェーン取引のデータの匿名性は暗号化ハッシュによって保たれます。

  • 柔軟性

    フラクショナル化による柔軟なポートフォリオ構築と分散投資、業務効率化と決済時間の短縮による投資持分の迅速な移動、データの透明性による投資分析のための最新情報の提供などが可能です。

  • 流動性

    トークン化により、投資家間の安全な譲渡が可能となり、すべての取引がデジタルROM(会員名簿)に反映されるため、流動性が向上します。世界中の規制当局がデジタル証券取引所を受け入れ、その規制のための枠組みを整備しているので、そういったグローバルな公開市場への上場も期待できます。

  • また、提供サービスは以下の通りです。

  • 不動産をNFT(Non-Fungible Token)に変換し、資産に裏打ちされたセキュリティトークンを発行するプラットフォーム。
  • Realbox が仮想不動産の作成、購入、販売を促進し、Realbox エコシステムが提供する一連のサービスを提供する不動産メタバース。
  • 不動産やその他の実物資産を含む、資産担保型トークン(セキュリティトークン)の取引を促進するマーケットプレイス。
  • 不動産管理、ビル運営・保守、施設管理、リース管理、不動産会計・財務報告、契約管理、建設管理などの資産管理サービス。
  • 投資家のリスクとリターンに応じて最適な投資機会を選択できるよう、AIを活用した自動化・アルゴリズム駆動型プラットフォームであるスマートインベストロボアドバイザー。
  • 不動産分析、資産選択、既存投資案件のモニタリング、ポートフォリオ戦略・実行を含む投資運用サービス。
  • Realboxのエコシステム

    Realboxでは、ガバナンストークン(REBトークン)とセキュリティトークンの2種類のトークンを提供しています。

    ガバナンストークン(REB)は、Realboxプラットフォームのネイティブトークンで、Binanceのスマートチェーンプラットフォーム上に構築されています。REBは、Realboxのエコシステムにおけるサービス料の支払いに使用されます。保有者は、プラットフォーム上の取引手数料による収益から配当金を得ることができます。さらに、保有量に応じて、セキュリティトークンを購入する際の手数料の割引やリーガルサポート、優先的に投資をすることができる権利といった優待を受けることができます。REBをステーキングすることにより利益を得ることもできます。

    セキュリティトークンは、トークン化された不動産のシェアを表し、保有者はその不動産の利益分配を受けることができます。トークン化されるのは、個別の不動産だけでなく、複数の不動産からなるポートフォリオの場合もあります。保有者は、原資産からの毎月の賃貸収入報告書と、セキュリティトークンの所有権を表す信託契約証明書を受け取る権利を有し、また、Realboxの監査済み財務諸表を見ることができます。このセキュリティトークンを購入するには、一定量以上のREBを保有している必要があります。

    ビジネスモデル

    Realbox の運営会社としての収益は以下のサービスから得るとしています。

  • ファンド組成サービス

    国内外の投資家を対象とした資産担保証券ファンドや住宅ローン担保証券ファンドなどの組成・運用を行います。

  • アセットマネジメントサービス

    不動産を管理・運用し、賃料収入や修繕・メンテナンス、評価、法務などのサービスを提供します。

  • 投資顧問サービス

    経験豊富な専任の投資顧問が市場の調査・選別をすべて行い、投資家の皆様に最適な投資先をご紹介します。

  • 不動産投資信託(REIT)

    従来のREITと同様に、不動産ポートフォリオに投資するためのファンドを組成します。以下の2種類のファンドを作るとしています。

    ①スペシャリスト・ファンド ... 各スペシャリスト・ファンドは、特定のアセットクラスに投資します。アセットクラスは大きく分けて4種類あります。

    ・レジ:主にアパート、タウンハウス、別荘などの住宅用不動産に投資するファンドです。

    ・商業:ショップハウス、マンション、オフィスビル、ショッピングセンター、リゾート、ホテルなどに特化したファンドです。

    ・工業:工業団地や倉庫に投資するファンドです。

    ・土地:土地を取得して、プロジェクト全体を一から開発することができる不動産開発ファンドです。

    ②ファンド・オブ・ファンズ ... このタイプのファンドは、他の専門ファンドに投資し、各ファンドへの配分を変えて、投資家の希望に応じたポートフォリオを作成します。

  • エコシステムを提供しつつ、運用やサポート業でマネタイズをしていくようです。

    法的スキーム

    Realboxは、シンガポールに有限責任会社(LLC)を特別目的会社(SPV)として立てています。このSPVが不動産を所有し、トークンを発行します。このトークンは、SPVの株式またはその他の証券を表すことになり、トークン保有者は、株式や債権の保有者として、不動産や不動産から得られる収益に対して直接請求権を持つことになります。Realbox上で不動産をトークン化して販売する一連の流れは以下のようになります。

    SPVが不動産の購入を完了すると、土地使用権証明書は、カストディアンまたは法律事務所である受託者が保有します。証券を譲渡する場合、登記簿を変更する必要がないため、不動産の直接所有権とは異なり、不動産担保型トークンの譲渡は容易で柔軟性があります。

    Realboxでは、不動産トークンを購入する際にトークン購入契約書に署名をする必要があります。これは、投資家の法的保護を提供するための契約書とのことです。

    総論

    今回は不動産をトークン化して販売するプラットフォームであるRealboxをご紹介しました。不動産含め金融資産を証券化してトークンに乗せる方法としてはシンガポールなど法的規制の点で有利な国にSPVを設立してトークンを発行する例が多く見られます。セキュリティトークンに関してはユーティリティトークンと比べて規制の観点もあり上場例が少なく、今後どれほどの流動性が生まれるかは未知数です。今後もPropwaveでは不動産のセキュリティトークン化の動向についてはチェックし、最新の事例についてご紹介していきたいと思います。

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