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Chainlink で連携!不動産のオフチェーンデータ

Chainlink で連携!不動産のオフチェーンデータ

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年5月12日 00時00分

近年、不動産ブロックチェーンプレイヤーが自身のプラットフォームにChainlinkを導入する検討を始めているケースが増えています。この記事ではその状況と、繋げることでどんな意味があるのかを見ていきたいと思います。

Chainlink は、現実世界のデータとブロックチェーン上に構築されたスマートコントラクトを結びつける、いわゆるオラクルネットワークを開発しています。外部とインタラクティブに接続しながら処理を行うスマートコントラクトを “ハイブリッドコントラクト” と読びますが、Chainlink では、独自のオラクルネットワークによってスマートコントラクトをあらゆる外部APIに確実に接続することができ、機能豊富なアプリケーションを実現可能にします。

不動産の場合はどの様な連携が考えられているのでしょうか。いくつかの事例とともに、連携の方法を見ていきたいと思います。

不動産評価データの連携: CitaDAO

一つ目の事例は CitaDAO になります。昨年こちらの記事で CitaDAO と Chainlink の連携が発表されました。

CitaDAOは、イーサリアム上に不動産を利用した分散型ファイナンス(DeFi)エコシステムを作成しています。記事で CitaDAO は Chainlink のオラクルインフラを活用して、信頼性の高い不動産評価データフィードを DeFi エコシステムに提供するとうたっています。

日々変わる不動産のデータインプットは確実にオンチェーンにはのってこないでしょう。そのため、ブロックチェーン上で現実の不動産の価値とリンクした取引および評価をするには、外部のデータの取り込みが不可欠になります。

CitaDAO は Chainlink のノードにより提供される CBRE、Savills、Knight Frank、JLL、Cushman&Wakefield などの世界クラスの不動産コンサルタントから供給された評価データを提供するようです。Chainlinkノードを価格オラクルとして使用することで、不動産評価に基づいた取引を提供することができるようになります。

CitaDAOのであるJoel Lin氏はこの連携について「Chainlinkとの統合により、CitaDAOは、ブロックチェーンの不動産評価データに関する透明性と効率を向上させています」と述べています。彼も CBRE に在籍したキャリアを持ちますので、こういった連携はお手のものかと思います。

しかし、一つ問題があるとすればこの評価の正当性がどの程度あるのかということでしょう。日本では CBRE や Savills などはあまり聞く機会がない企業ですが、これらは世界クラスの不動産業者で、多くの不動産取引に関与する他、不動産のレポートも定期的に提供しています。これらの企業が提供しているレポートのサンプルはこちらにございますので、是非ご覧ください。

これらの企業は非常に大きく、こういった評価の分析も比較的マクロな視点で行われています。そのため例えば一物件をトークン化した場合、これらの提供される評価の中には、個々の建物の状態に関する変数はおそらく組み込まれないであろうことは留意すべきです。

しかし彼らも “プリミティブ” という言葉を記事中に使っているため、おそらくこのデータをそのまま評価に使うのではなく、CitaDAO が評価するためのベースとして使うのではないかと類推されます。そのため単一の物件を扱う以上、結局はある種の手作業の計算が必要になってくると考えられます。その場合に、シームレスにオフチェーンのデータと連携するハイブリッドスマートコントラクトを作る必要があるかは議論が分かれるでしょう。

CitaDAO と Chainlink の連携はまだこれからですので、今後明らかになる連携機能については注目が集まります。

家賃収入の分配: LaProp

LaPropは、ブロックチェーン上の不動産所有権を細分化してトークン化することにより、不動産投資を民主化するように設計された新しい種類の不動産プラットフォームです。LaProp は BNB Chain 上で実行され、ラテンアメリカでの不動産投資向けに設計されています。

LaPropは、Chainlink Keepersを統合して、毎週から毎月の定期的な間隔でLaPropトークン所有者に家賃収入を自動的に分配することを発表しました。サービス提供者は Chainlink Keepers を利用することで、高価なオンチェーン自動化ロジックを分散型 Keepers ネットワークにオフロードすることができます。今回、LaProp が Chainlink Keepers を使うと、すべての家賃の支払いが時間通りに実行されることを保証するのに役立ちます。

LaPropのCEOであるAlejandro Jaramillo氏は、以下のように述べています。

私たちは、賃貸料の支払い機能を自動化するために Chainlink Keepers を選択しました。理由は最も信頼性が高く堅牢で、分散型の自動化ソリューションだからです。 ユーザーは、家賃分配のスマートコントラクトを見ることができるようになり、プロセスが完全に自動化され、透過的で分散化されました。もはや中央の実体を信頼する必要はありません。

このように、外部からの定期的な振込に対応するハイブリッドスマートコントラクトを実行することは Chainlink の利用に側していると言えるでしょう。一般的に分配前の振り込みをスマートコントラクトで表す場合、部屋を借りている人が暗号資産で家賃を支払うか、部屋を借りている人から振り込みを受けた業者が暗号資産で不動産収益をスマートコントラクトに移す必要があります。

これらの作業はシームレスな不動産ブロックチェーンの運営を阻むことになりますので、この作業が自動化されて透明性が増すことはユーザーにとって非常にメリットがあります。

まとめ

今回は不動産ブロックチェーンを題材にした Chainlink の連携および、その使い道について触れました。ブロックチェーンアプリケーションを作る際に、ブロックチェーン内部のデータだけで完結するケースは一部の DeFi や DEX などを除いて稀です。特にゲームや現実のアセットと紐づける仕組みを導入する場合はオフチェーンで管理しているデータを利用してエンドユーザーに提示する必要があります。

では、必ずしも全ての連携が Chainlink などのオラクルネットワークを介す必要があるかというと No でしょう。これは LaProp の CEO インタビューで述べられていますが、透明性が重要だと思われているところでの利用をまずは考えるべきです。

今回は、Chainlink を題材に不動産ブロックチェーンのオフチェーン連携を見てきました。実際にはこれらの連携はまだ実装途上のプロジェクトがほとんどですので、実際に今後の開発と発表が待たれます。

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