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DeFi で不動産開発資金を調達できる!LandOrc について解説!

DeFi で不動産開発資金を調達できる!LandOrc について解説!

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年4月25日 00時00分

LandOrc は、DeFiを通じて不動産開発資金を調達することができるプラットフォームです。アラブ首長国連邦に本社を置いています。一般的にリスクが高いアセットが多い傾向にあるDeFiにおいて、不動産を裏付けとしたアセットを提供することで、暗号資産を安定的に運用ができる手段を提供しています。そんなLandOrcについて、プロジェクトの概要と仕組みを解説していきます。

LandOrcのエコシステム

土地の権利をNFT化する

LandOrc では、土地や不動産の所有権を表象する LandNFT を発行することができます。LandNFT は、ERC-721 に基づくノンファンジブルトークンで、融資による資金調達の担保として使用できます。また、土地評価や周辺データといった追加情報が LandNFT に紐づいたIPFS(Inter Planetary File System)データベースに保管されます。IPFSとは、詳細は長くなるため省略しますが、簡単に言えば全てのコンピュータデバイスを同じファイルシステムにつなぐことを目的とした分散型ファイルシステムのことです。分散型であるという特徴からブロックチェーンと相性が良いとされています。

トークン化を希望する不動産デベロッパーや土地所有者は、KYCプロセスを経て、所有権を証明するための関連書類を提出する必要があります。これらの情報は、鑑定士や弁護士などの複数の専門家によって分析され、 Land Governanceトークン(LGOV)を使用して投票が行われます。投票で承認を得られると、LandNFT を発行することができます。

LorcFinancing

LandOrc では LorcFinancing を通じて、不動産デベロッパーや土地所有者が今後のプロジェクトに必要な資金を調達することができます。

融資を受けるには、融資総額の2倍以上の担保比率で担保を提供する必要があります。この担保は、LandOrcと提携している現地のSPVに担保として提供されます。この2倍の担保設定比率は、強制売却が発生した場合に十分な流動性を確保するためのものです。返済や利息の支払いが滞った場合、不動産の所有権は現地の管轄区域で運営されているSPVに譲渡され、清算されます。

LORC トークン

$LORC はERC-20規格のユーティリティトークンです。不動産開発プロジェクトに対してステーキングをして報酬を得ることができます。ステークされたLORCはプラットフォームのウォレットに転送され、SPVに分配、FIATに変換されたのち、LorcFinancingの条件の下で不動産所有者や開発業者に分配されます。

LGOV トークン

$LGOV は、LandOrc のガバナンストークンです。LandOrc のエコシステムのメンバーである不動産開発会社、弁護士、デジタルアセットオーナー、テクノロジーパートナーに、プラットフォーム上の重要な決定事項に対する議決権として割り当てられます。融資可能なプロジェクトの選択、プラットフォームでの手数料や技術開発に関する重要な決定をLOGV保有者の投票によって行われます。

Lending Marketplace

マーケットプレイスには、資金調達を希望する不動産開発プロジェクトが掲載されています。開発者の資格、融資要件、関連する担保に関する情報、収益率、プロジェクトの期間など、プロジェクトの詳細が記載されています。投資家は、特定のプロジェクト単位もしくはプラットフォーム全体にLORCをステークすることができます。

LandOrcが狙うビジネス機会

LandOrc は以下のような貸出金利の高い地域に焦点を当てています。

これらの市場のTAMは年間5000億米ドルに上ると推定しており、LandOrcではそのうち0.5%の25億ドル程度をSAMとして算出しています。

トークノミクス

LORC は、最初は2100万トークンが発行され、その内訳は以下の通りになっています。

Team と Investor & Community を合わせると 75% を占め、インサイダーでトークンを持ちすぎている(= 一気に売られて値崩れしてしまうリスクがある)印象があります。また、トークンの発行に上限はなく、LandOrcプラットフォームでのLandNFT(土地所有権の変換による)のミントに基づいて、担保資産価値に見合う量が発行される予定です。なお、新たに発行されたLORCトークンの45%はLandOrcプラットフォームに保持され、ステーキング報酬の支払いや、トークン価値を安定させるための準備金として使用される予定です。

LorcFinancing のステーキングと送金にはLandOrcプラットフォームで LORC を使用する必要があるため、LORCは安定した需要を確保することができると説明されています。

Polygonとの提携

現時点ではLandorcはイーサリアム上に構築されていますが、2022年4月にPolygonとの提携を発表しました。今後は Polygon に移行され、より安価なガス代で利用できるようになります。

総論

今回は、LandOrcについて解説しました。執筆時点ではリスティングされている開発プロジェクトがなく、これから案件を増やしていくものと思われます。融資を受けるにはSPVに担保となる不動産を預ける必要があり、投資家にとっては一定のリスクヘッジができて安定運用できるアセットになるでしょう。ただし、十分な担保がある業者が銀行融資ではなく、LandOrc を通じて資金調達をするとなるとそれなりに低い金利でないと利用しないはずです。その点をわかった上で、貸出金利が高い地域を最初からターゲットとしていると思うのですが、今後はオーストラリアやアメリカにも事業展開をすると述べられています。実際どのようなプロジェクトがリスティングされるのか、ハイリスクな案件ばかりにならないかが注目されるところです。

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