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島を丸ごとNFTに!?「Satoshi Island」とは?

島を丸ごとNFTに!?「Satoshi Island」とは?

Fumiya
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Entry - 初級2022年8月5日 00時00分

「Satoshi Island(サトシアイランド)」はバヌアツ共和国にあるリアルな島を丸ごとNFT化して、土地をトークンとして売買できるようにするプロジェクトです。買った土地には家を建てたり実際に使うことができ、現実世界に紐づいたNFTプロジェクトとして注目を集めています。今回はそんな Satoshi Island について、具体的な内容や仕組みについて解説していきます。

※ Propwave で提供している情報は、情報提供を目的としており、投資を助言または推奨するものではありません。本記事で参照される暗号資産または関連するアセットに関して投資判断を行う場合は、事前にご自身で調査及びデューデリジェンスを実施しご判断ください。

Satoshi Island の概要

Satoshi Island(サトシアイランド)は、Satoshi Island Holdings Limited が所有する実在する島で、南太平洋に浮かぶ島国、バヌアツ共和国にあります。(正式には Lataro という名前の島のようです)

約3平方キロメートルの広さで、現在は建物等なく未開発の島ですが、バヌアツ共和国政府の元ブロックチェーン特区とし、土地をNFTとして購入できるようにすることで開発を進めていくプロジェクトです。開発やマスタープランニングは James Law Cybertecture という建築会社によって進められています。

Satoshi Island では、市民権NFTと土地NFT、そして島で使える通貨となる独自トークン「Satoshi Island Coin (STC)」が販売されます。

土地NFT

Satoshi Island は7つのエリアに分かれており、それらがさらに約18m × 20mの大きさの2,100個のブロックに分割されています。各ブロックは10個の土地NFT(ERC-721)に分割されており、ブロックを貸したり、売ったり、自分たちで使用する等どのように利用するかはNFTホルダーによる投票で決められます。完全に所有するにはそのブロックの10個の全てのNFTを集める必要があります。

市民権NFT

市民権NFT (Satoshi Island Citizenship NFTs) の発行枚数は21,000個となっています。

最初、市民権NFTはプロジェクトの初期サポーターやインフルエンサーにエアドロップされており、一般には2022年8月8日$130,000で販売を開始する予定です。

市民権NFTは、Satoshi Island に永住、就労することができる権利です。自分のプロジェクトに取り組んだり、島に拠点を持つプロジェクトのために働いたりすることができます。土地NFTは誰でも所有することができますが、その土地に住宅を建てる場合は、市民権NFTを保有している必要があります。その他、市民権を取得すると、短期滞在者では利用できない低料金で長期滞在施設を利用することができるといった特典もあります。

なお、Satoshi Island の市民権は、バヌアツの市民権とは異なり、市民権NFTとは別にバヌアツへの入国には有効なビザが必要となります。

また、市民権NFTは島全体の政策に投票することができるガバナンストークンとなっています。市民権NFTは1つのウォレットにつき1つしか保有できません。

建物

Satoshi Island で建築される建物は、専用に開発された「モジュール」を組み合わせることによって成り立ちます。モジュールは島の外で組み立てられ、完成した状態で島に運ばれます。設置したらすぐに使え、組み合わせることで戸建てやアパート、オフィスなど様々な用途に使えます。ソーラーパネルや廃棄物管理システムを備え、サステイナビリティにも配慮されています。

土地の実際の権利関係はどうなっている?

土地をNFTとして売買できる「Satoshi Island」ですが、土地NFTを保有すると、実際の土地の所有権を得ることができるのでしょうか?

実は、Satoshi Island において土地をトークン化するプロセスでは、まず7つのエリアごとに Land NFT Deeds と呼ばれる証書を巻き、この証書を持って、かくエリアにおける土地のNFTをミントする権利を策定しています。その証書が こちら になるのですが、この証書によると、

The Holder acknowledges and agrees that Satoshi Island DAO owns all legal rights

と記されています。Satoshi Island DAO は、マーシャル諸島共和国に登記されている非営利のLLCで、このLLCが全ての権利を保持していることになります。マーシャル諸島共和国では、DAOが LLC として法人格を持つことができます。このLLCが、実際の Satoshi Island の土地の借地権を持っているバヌアツの法人である Satoshi Island Holdings Limited の100%のシェアを持つことで、Satoshi Island DAO が発行するトークンホルダーが間接的に土地に対する権利を持つことを実現しています。土地NFTは実際にはその土地の所有権ではなく利用権を表すものになることが分かります。

まとめ

バヌアツはイノベーション推進の一環としてブロックチェーン技術を重視しており、キャピタルゲインや所得税がかからないことや、2017年にはビットコインを使って市民権を購入することが可能になったことが話題となりました。Satoshi Island もクリプト関連企業や専門家を呼び込んだりカンファレンスを開いて盛り上げていきたい意図があるようです。不動産の権利をトークン化するプロジェクトは多数あるものの、島を丸ごとトークン化して実際に動いているプロジェクトは現状なく、特に今回のような国を挙げての実証実験は稀です。今後の動向が非常に楽しみです。

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