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ブロックチェーンで分散型賃貸住宅プラットフォームを提供する Rentberry を解説!

ブロックチェーンで分散型賃貸住宅プラットフォームを提供する Rentberry を解説!

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年1月5日 00時00分

Rentberry は、オンライン上で契約や賃料の支払いなど賃貸に関する手続きをワンストップで行うことができるCtoCプラットフォームです。今回はその Rentberry について解説していきます。

概要

Rentberryは、アメリカを中心に CtoC の不動産賃貸サービスを提供するプラットフォームです。

通常、不動産賃貸の取引では仲介会社が借り手と貸し手(管理会社)の間に入って契約手続きを進めるのが一般的ですが、Rentberry では借り手と貸し手が直接やりとりできます。現状、家を借りるには下記のようなプロセスが必要です。

  • WEBサイトで物件を探す
  • サイトから物件の掲載元の仲介会社に問い合わせる
  • 仲介会社の店舗に出向いて内覧に行く
  • 申し込み手続きをする(入居申込書や保証会社の申込書など大量の紙の書類が必要)
  • 入居審査
  • 契約手続き
  • 物件の引き渡し
  • それぞれのプロセスで同じ情報を何度も記入しなければいけなかったり、不動産業者同士のやりとりが電話やFAXといったアナログな方法であることから、時間やコストが大きいことが課題として挙げられます。

    Rentberryではこれらのプロセスを短縮し、各手続きを全てワンストップでオンライン上で行えるようにすることで仲介会社を省略した手続きを実現しています。貸主にとっては物件の管理や集客に係る手間を大きく減らせますし、借り手も面倒な手続きをしなくて済むことに加え、仲介手数料の削減、家賃交渉やメンテナンス作業の依頼が簡単にできるといったメリットがあります。

    トークンの仕組みと活用

    Rentberry が発行するトークンは BERRY と呼ばれ、イーサリアムのブロックチェーンにおいて ERC-20規格で発行されていす。イーサリアムブロックチェーン上の取引の処理時間の遅延やリソースの制約がプラットフォーム上のパフォーマンスに悪影響を与える可能性を考慮して、Rentberry はパブリック/プライベートチェーンのハイブリッドモデルの採用するとしています。

    BERRY トークンをパブリックブロックチェーン上に置く一方で、Rentberry はスマートコントラクト機能を備えたプライベートブロックチェーンネットワーク台帳を作成し、プラットフォーム上の取引を管理します。Rentberry のユーザーは、このプライベートチェーンの台帳を自由に閲覧することが出来ます。イーサリアムがプラットフォームのパフォーマンスを低下させる懸念がなくなり、 Rentberry 上のやりとりを完全にサポートできるようになった時点で、全ての取引をパブリックチェーンに移行することを予定しています。

    トークンはプラットフォーム上で以下のようなケースで使用されます。

  • 家賃の支払いクレジットカードや口座振込に伴う手数料、現金取引の未記録、支払いの確認などがなくなり、不正行為のリスクを抑えることが出来ます。また、支払いの履歴は借主の信用スコアの計算に用いられます。
  • 初期費用の支払いブロックチェーンキーを用いて借り手、貸し手の両者が契約を実行すると、スマートコントラクトの条件に基づいて自動的に BERRY トークンの送金が行われます。
  • 保証金のクラウドソーシング初期費用を工面できない場合は、Rentberry のコミュニティ上で保証金を代わりに支払ってくれる人を探すことが出来ます。保証金を代わりに払った人は、その対価として BERRY トークンが支払われます。
  • プラットフォーム利用料の支払い保有物件が3件までのオーナーと借り手は無料でプラットフォームを利用できます。ただし、不動産会社や管理会社など管理物件が3件を超える場合は、月額150 BERRYトークン(約30ドル)を支払う必要があります。
  • 物件のプロモーションやマーケティングBERRY トークンを支払うことで、掲載している自分の物件が検索結果の上位に表示されたり、空室状況の地図上で強調表示されます。
  • 現状と課題

    上述した BERRY トークンの活用については、2017年に公開されたICOにあたってのホワイトペーパーに記されていたものです。現在も Rentberry のプラットフォーム上では不動産賃貸の取引が行われており、実際にどのように BERRY トークンが活用されているかというと、プラットフォーム上の取引に関しては全く使われておらず、ガバナンストークンとして使われているようです。諸々の支払いについてもクレジットカードでの決済となっています。

    上のタイムラインはホワイトペーパーに記載されている30ヶ月間のロードマップとなりますが、ほとんど実現されていないように見受けられます。トークン価格も、ICO時には、1 BERRY = 約21円 だったのが、現在は約0.06円まで下がってしまっています。

    総論

    ブロックチェーンを活用した賃貸プラットフォームとして Rentberry は2017年のICO時には大きな注目を浴びました。クリプトに関わらず、不動産自体がレガシーな業界かつ、各プロセスにおいて関わっているプレイヤーも多いため、全体を新しいテクノロジーによって最適化することは難易度が高い挑戦だと思います。BERRY がユーティリティトークンとして活用されるようになる可能性は低いとは思いますが、実際の取引が生まれているプラットフォームということもあり、どのようなスキームでブロックチェーンを活用していくのか、今後の動きにも注目したいところです。

    余談ですが、なぜか筆者は2021年12月24日現在、Rentberry の Twitter 公式アカウントにブロックされています笑

    ツイートに対して返信をしたこともありませんし、Rentberry に関して何かネガティブな発信をしたこともないので、理由は全く分かりません😂

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