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不動産ブロックチェーンのアプリ開発者動向

不動産ブロックチェーンのアプリ開発者動向

George
George
Entry - 初級2022年2月11日 00時00分

今回は、不動産ブロックチェーンに関するアプリケーション開発の動向を見ていきます。

ブロックチェーンでアプリを開発するといっても、さまざまな種類があります。例えば、Solidity でのスマートコントラクト開発、それらの情報を参照するフロントエンドのプログラムなどが挙げられます。それらがどのレベル感でパブリックに公開されているかは、進展具合もプロジェクトによってまちまちです。また。ブロックチェーンを使ったアプリケーション開発の多くのケースで、スマートコントラクト開発自体は全体のプロジェクトのごく一部です。そのためパブリックな開発履歴が少ないからといってそのプロジェクトの優劣を即座に判定することはできないでしょう。

パブリックチェーンにおけるアプリケーション開発には、GitHub というソースコード管理およびコラボレーションサービスが主に使われています。この記事では各不動産ブロックチェーンのプロジェクト開発状況および公開状況を見ていきたいと思います。

この記事で取り扱っている情報は執筆の 2022/02/16 時点での状況です。また、筆者がDiscord, Telegram, GitHub, Twitter や検索で探せる限りの情報を集めておりますが、カバレージは100%ではありません。ご了承ください。

Propy

Propy の GitHub はこちらです。いくつかリポジトリがありますが、現在進行形で開発がされているものはなく、多くの場合他のリポジトリからフォーク(複製)されたものですし、それも 2018年、2019年に作成された霧になっているものが多いです。

Propy は NFT に最近参画しており、CEO の Natalia Karayaneva 氏も Twitter で多くのコミュニケーションをとっています。また 2021 の年末には 「Community and DAO Builder を探している」旨の投稿を Twitter に寄せています。

そのような段階なので、Public なリポジトリやそれに関する活動が見えてくるのは 2022 年以降かもしれません。

CitaDAO

CitaDAO は Public リポジトリにおける活動の履歴が GitHub 上に存在します。一方で、そのプロジェクトは個人のアカウントに複製されたものが存在するのみで、公式のプロジェクトはありません。おそらくどこかのタイミングでプロジェクトがプライベートに移行したと考えられます。今の状況は一部のコードが、個人によって複製され、検索に引っかかる状態であると推測できます。個人アカウントなのでリンクは割愛しますが、"citaDao contract" と検索すると Buyout Protocol など、CitaDAO の実装が垣間見れる Solidity プロジェクトが見つかります。

しかし、このコードが編集されていった git の履歴は個人によって初期化されており、造られた経緯などは分からない状態になっています。

RealT

RealT にはコミュニティのアカウントが存在するのみです。このアカウントが公式認定のものなのかの言及はありません。中のリポジトリにも Discord 関連のボットやドキュメントが管理されているのみです。

しかし、下記のように RealT は物件ごとにイーサリアムにスマートコントラクトをデプロイしており、ソースコードも下記のように見れるようになっています。

開発の実態はあるようですが、全てプライベートで行われているといって良いでしょう。今後 RealT が開発をパブリックにするかはわかりませんが、採用のエンジニア要件として「さまざまな Blockchain プロジェクトとコラボレーションして、RealT をつなげる」という趣旨の内容があることからも、RealT は積極的に他のエコシステムとの連携や DeFi Composability を意識していくと思われます。

その場合、これらの開発はどんどんオープンになっていく必要があるので、開発の状況が GitHub のようなプラットフォームで見れるようになるのは時間の問題かもしれません。

LANDBOX

韓国発の LANDBOX はこちらにリポジトリを用意しています。

内部には ERC20 のトークンのソースコードがあり、CERTIK からもセキュリティのアセスメントを受けています。実装を見る限りトークンに特異性はなく、一般的な ERC20 のトークンとなんら変わりがありません。組織内のリポジトリの更新自体も 2021 年の4月で止まっています。

このトークンは取引可能な状態にはなっているものの、流動性は極めて低い状態が続いています。今後のプラットフォーム拡充は見込まれるのでしょうか。

Rentberry

Rentberry はこちらにリポジトリがあります。Rentberry は Airbnb にも似た UI の検索サービスを提供していることからも、そのサービスに係る OSS をこのリポジトリでホストしており、中には GEO コーディングが含まれています。一方でブロックチェーン関連のコードは見つかりませんでした。

一方で、BERRY のスマートコントラクトは以下のリポジトリに存在します。

GitHub 組織は違いますが、Bukashk0zzz という Rentberry の Org メンバーが内容に変更を加えていますので、これ自体がトークンを表すものかは定かではありませんが、少なくとも関連するものとみて間違い無いでしょう。しかし module17 という別組織の中にホストされている状況は少し不自然です。Rentberry 自体も不動産ビジネスのハコとしての実態と、トークン開発の実態などは一本化されていないようにも見受けられます。

まとめ

ここまで、不動産ブロックチェーンの開発状況をみてきました。昨今のブロックチェーンプロジェクトは DAO で運営されるケースが多く、いくつかの不動産ブロックチェーンプロジェクトも DAO を意識しています。

一方で現在存在する不動産ブロックチェーンプロジェクトにおけるスマートコントラクトの開発がパブリックに行われているかというとそうではないようです。もっとも DAO を採用して組織運営することと、パブリックな開発を実施することは同義ではありません。しかし本当に分散型の組織を実現し、多くの人がスマートコントラクトおよびそのエコシステムの開発に参加するためには、どこかのタイミングでオープンソースでの開発が必要になってくるでしょう。

現在はまだ DAO を用いての開発は黎明期であり、スタンダードは定まっていません。しかし、本質的には「アイデアがある→開発の雛形がある→スマートコントラクトの実現する世界に魅せられた人が自発的・自律的に開発に参加する→その結果、開発・運営組織の管理を DAO ですることになる」が正しい方向であります。

「アイデアがある→人数が足りないな→DAOを作って人を集めよう→トークンあげるから開発して」では成功は遠の久野ではないでしょうか。金銭により人が集まるプロジェクトは、金銭により人が去っていくことになります。

不動産ブロックチェーンのプロジェクトの場合、登記プロセスなど、なんらかの形で中央集権の組織とのやりとりが必要になるケースが多く、特に初期においては中央の管理チームが生まれがちです。もしかすると、そのチームがいかに欲を消して、そして本質的な「問題解決」の意志を持つメンバーを集めることができるのかが、プロジェクトが最大の利益を生み出す秘訣かもしれません。

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