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メタバース不動産の幕開け!The Sandboxが作る新しい経済圏とビジネスチャンス

メタバース不動産の幕開け!The Sandboxが作る新しい経済圏とビジネスチャンス

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年1月4日 00時00分

2021年はメタバースという言葉が注目を浴びました。メタバース (Metaverse) とは、インターネット上の仮想現実空間のことで、ユーザー同士でコミュニケーションを取ったりイベントに参加するなど、現実さながらのライフスタイルを送ることができる世界です。特に 10月29日に米Facebookが社名を Meta  に変更し、メタバースの構築に注力することを発表したことが大きな話題となりました。そんなメタバースの中では今様々なビジネスが生まれてきています。この記事では The Sandbox について扱おうと思います。

The Sandboxとは

様々な企業がメタバース構築に注力している中、ブロックチェーンを活用したメタバース空間として一際人気を集めているのが The Sandbox です。The Sandboxでは、LAND と呼ばれる土地が販売されており、ユーザーはアバターを通じてその土地を自由に行き来することができます。様々なクリエイターやゲームメイカーが The Sandbox の土地の上にゲームや建築物を作っており、1週間で約100億円相当の土地が売買されるなど経済的にも盛り上がりを見せています。11月2日には、ソフトバンクグループ傘下のビジョンファンド2 の主導で9300万ドル(約105億円)を調達したことを発表しました。

なぜ仮想空間の土地が高値で取引されるの?

The Sandboxの土地である LAND は正方形のマス目上に分かれていて、2021年12月時点で1マスあたりの平均価格は3.9 ETH (約166万円)、高いところだと 60 ETH(約2,560万円)で取引されています。どうしてここまで高額でやり取りされているのかというと、

  • 土地の上限が決まっている

    LAND は ERC-721規格のトークン(NFT)で、区画の上限数が 166,464個と決められています。これまでインターネット上のデータは簡単に複製することができ、価値が希薄化していくものでしたが、NFT という技術によって上限を設けることができるようになり、希少価値が生まれました。

  • メタバース内での人流が生まれている

    現実世界の土地で高値が付いているのはどのような土地でしょうか?日本だと、都道府県で言えば東京都、その中でも港区や千代田区など人が多いところですよね。メタバースにおいても同じで、たくさんの人が来る(ことが見込まれる)とそれだけ価値がある土地として値上がりします。The Sandbox の土地は全て陸続きになっているため、例えば有名なゲームがある土地や有名人が持っている土地のすぐ隣の土地も人が多く通ることが見込まれ値上がりします。The Sandbox がメタバース空間を盛り上げるために、アメリカの著名なラッパー Snoop Dogg とコラボした土地を作り、その隣接の LAND は5,000万円で落札されました。

  • 土地を買うことでどのようなビジネスができるのか

    では、それだけ多くの金額を払って買った土地を、どのように活用するのでしょうか?

  • ゲームや建築物を作る

    The Sandbox では、Game Maker と VoxEditという2つのツールが配布されています。VoxEdit は The Sandbox 内で使用するボクセルアートを作ることができるツールです。キャラクターや家などの建築物、剣や置物のような武器・アイテムなど自由に作成することができます。作ったボクセルアートは NFT として The Sandbox のマーケットプレイスで販売することができます。そして、Game Maker では、用意されているブロックや人などの豊富な素材、所有している NFT アセットを使って、LAND 上に建築物やゲームを作ることができます。そのようにして作ったゲームや建築物を有償で提供することもできますし、広告を載せることで広告費を稼ぐといったこともできます。

  • 土地の売買・賃貸

    上記で述べたように、建築物を建てたり、ゲームを作るには LAND が必要です。LAND を貸し出すことで賃貸収入を得たり、値上がりしたら売却することで利益を得ることも可能です。LAND を買ってゲームや建物を作り、バリューアップして売却するといったような メタバース不動産デベロッパー も登場しています。

  • その他周辺ビジネスも生まれている

    土地の活用に限らず、先に説明したような土地上で使えるキャラクターやアイテムを作ってマーケットプレイスで販売することで収益を得ることもできます。インターネット発のキャラクターやコンテンツの開発をしている株式会社クオン (2022年1月より株式会社Mintoに社名変更) は、Quan LAND を開設し、2021年11月4日にキャラクターNFT4体と、その周辺の LAND を売り出しました。販売開始からわずか4分で完売し、OpenSea でのオークション販売を含めた販売額は累計808,536 SAND となっています。$SAND とは The Sandboxで LAND や NFTアセットを購入するために使われるトークンのことを指します。が執筆時点では 808,536 SAND は 約99 ETHとなり、日本円に換算すると約2.8億円を超える販売額となっていました。またメタバース空間に特化した建築デザイン・設計事務所も生まれており、クリエイターエコノミーが醸成されています。

    まとめ

    今回はメタバースゲーム The Sandbox を例に、メタバースでどのような経済活動が生まれているのかについて解説しました。これだけ色んな企業が参加し、投資も集まっている The Sandbox ですが、実は執筆時点ではまだ正式リリースはされていません。現状は期待値が高まっている故のバブル状態であるという意見もありますが、それだけメタバースとブロックチェーンが作る経済圏自体に人々の期待が集まっていると言えます。

    どの国でも不動産は巨大なマーケットですが、今後メタバースが人々の生活に根付いていけば間違いなく同じように巨大なマーケットが生まれることになるでしょう。これから次々と生まれてくるであろうビジネスチャンスに注目です。

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