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たった50ドルから不動産を持てる!?LANDSHAREとは!

たった50ドルから不動産を持てる!?LANDSHAREとは!

Fumiya
Fumiya
Entry - 初級2022年2月15日 00時00分

LANDSHAREはアメリカ発のプロジェクトで、不動産の所有権をトークン化することにより流動的な資産にすることを目指しています。今回はこのLANDSHAREについて、プロジェクトの概要やトークン化のスキームについて解説していきます。

概要

LANDSHARE は、不動産を小口にしてトークン化し、ブロックチェーン上で売買できるようにすることを目的としたプロジェクトです。トークン化された各不動産は賃貸に出され、家賃収入がトークン保有者に分配されます。課題意識としては、「50ドルから不動産投資ができる」と謳っているように、不動産投資へのハードルを下げることです。不動産は年々インフレ率以上の値上がりを続けており、安定したキャッシュフローを生む魅力的な資産である一方で、大きい金額のローンを組むことで金利が収益を圧迫してしまうことや、入居者の管理、物件の維持管理、税金の支払い、法律の手続きなど投資家の負担が大きいと述べています。REITとの違いとしては、

  • ファンドではなく単一の不動産に投資ができること
  • 不動産に対する投票権やガバナンス権を有すること
  • より頻繁な配当の実施
  • 管理コストが下がることにより最低投資額をより低く設定できること
  • 数秒で簡単に売買ができること
  • を挙げています。

    不動産をトークン化するプロセス

    LANDSHAREでは、以下の手順で不動産をトークン化します。

  • トークン化する対象の不動産を保有するLLCを設立する
  • LLCの出資持分を表すトークンを発行する
  • 投資家はKYC、AMLチェックをして、購入契約書に署名をしてトークンを購入する
  • LANDSHARE社が投資家に代わって不動産を管理する
  • 賃貸収入はBUSDでトークン保有者に分配する
  • すなわち、トークン保有者はLLCの持分を取得することで、間接的に不動産の所有権を得ることになります。LANDSHARE は不動産トークンをグローバルに取引されることを見込んでいるため、米国外での証券の募集・販売に関する登録免除規定である「Regulation S」に従ってトークンの販売をしています。

    投資対象の不動産は?

    LANDSHARE がトークン化する不動産資産として「House Flipping」というものが挙げられています。House Flipping とは、価値が低いディストレスト物件を購入し、リノベーションをしてバリューアップし、短い期間で転売することを指します。日本でいう「カチタス」のようなモデルですね。LANDSHAREによると、2021年第二四半期の平均的なHouse Flipping のROIはなんと33.5%で、物件を仕入れてから販売するまでの期間(在庫回転期間)は平均3〜6ヶ月間だそうです。非常に魅力的な利回りにみえますが、ディストレス物件はローンが降りず、現金で買う必要があります。一般的な個人投資家にとってはフルキャッシュで不動産を購入するのは難しいですし、加えてリノベーションにも費用がかかります。LANDSHAREではトークン化することによって、こういった House Flipping を一般投資家でも投資できるようにすると説明しています。

    トークン化することでDeFi機能が使えるように

    LANDSHAREは Binance Smart Chain に構築されており、チェーン上の他のDeFiプロトコルに接続することができます。Compoundなどの分散型DeFiプラットフォームでは、ユーザー同士が直接仮想通貨の貸し借りをすることができますが、セキュリティトークンには対応していません。LANDSHAREでは不動産トークンを担保にBUSDを借りることができる機能を提供する予定とのことです。そして、不動産トークンは対象不動産へのガバナンス権を表しています。不動産の売却やリノベーションなどの意思決定に投票することができます。また、トークン保有者に分配される賃料収入を使って自動的に不動産トークンを購入していく「オートコンパウンド」機能というものがあります。オートコンパウンド機能を使うと、5%のボーナスを得ることができ、例えば、賃料収入が100ドルであれば、105ドルの不動産トークンを受け取ることができます。

    LAND トークンの役割は?

    LANDSHAREでは、不動産トークンとは別にプラットフォームのユーティリティトークンとして Landshareトークン($LAND) を発行しています。このトークンは不動産の所有権や収益とは一切無関係です。不動産トークンを担保にした借入の利息の支払いや、プラットフォーム上の諸々の支払いに使われるほか、ガバナンストークンとしてマーケティングイベントや機能のリクエストなどコミュニティの提案に投票をすることができます。また、ステーキングやイールドファーミング(LAND と BNBのペア)により、報酬を得ることも可能です。

    まとめ

    今回は不動産を流動性があるトークンにするプロジェクト「LANDSHARE」についてご紹介しました。不動産の直接の所有権を移転させるには登記等必要なので、SPCを作って証券化するという手法はトークンに限らず不動産の証券化に関しては一般的です。しかし、それだけでなく、証券の運用をスマートコントラクトで効率化したり、売買がより簡単になったりとこれまでの不動産証券と比べてメリットが多く、事例や二次流通の実績が増えて来れば一般的に普及するのもそう遠くはない未来だと考えています。日本でも STO による不動産のトークン化の事例が出始めており、二次流通の取引所の登場も控えています。トークン化の仕組みもさることながら、これまでとは違った商品設計が生まれることも期待されます。

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