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次のイーサリアムになるか!?NEAR Protocol って何がすごいの?

次のイーサリアムになるか!?NEAR Protocol って何がすごいの?

Fumiya
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Entry - 初級2022年5月2日 00時00分

NEAR Protocol は低手数料で高速処理が可能なレイヤー1ブロックチェーンです。2020年4月にメインネットがローンチされた比較的新しいブロックチェーンで、既存のブロックチェーンのスケーラビリティ問題と初心者には扱いづらいユーザービリティの問題を解決するために生まれました。2022年4月には 3.5億ドル(約433億円)の資金調達を実施しているなど、今後イーサリアムに代わる可能性があるブロックチェーンとして注目を浴びています。そんな NEAR Protocol は、他のチェーンと比べてどのような特徴を持っているのでしょうか。今回は NEAR Protocol とはなんなのか、具体的にどういった点が注目されているのかについて解説していきたいと思います。

※ Propwave で提供している情報は、情報提供を目的としており、投資を助言または推奨するものではありません。本記事で参照される暗号資産または関連するアセットに関して投資判断を行う場合は、事前にご自身で調査及びデューデリジェンスを実施しご判断ください。

NEAR Protocol の特徴

動的に拡張するシャーディング

他のブロックチェーンにはない NEAR の最も大きな特徴は、「NightShade (ナイトシェード)」と呼ばれる仕組みです。現在ブロックチェーンが抱えている大きな問題としてスケーラビリティ問題があります。これを解決する手段としてはレイヤー2やサイドチェーン(こちらの記事で詳しく解説しています)などがありますが、レイヤー1単独での有効な解決策は現状実現していません。NEAR では、チェーンを接続するノードが増えた時の負荷の分散方法として、シャーディング(Sharding)という手法を採用しています。

シャーディングとは、データベースの負荷分散の手法の一つで、一つの表(テーブル)を複数のデータベースに分割して記録する方法です。イーサリアム 2.0 においてもシャーディングが実装される予定で、全てのオペレーションを1つのブロックチェーンで処理するのではなく、64のシャードチェーンに分散することでネットワーク負荷を軽減することができます。

Sharding Design: Nightshade - NEAR Protocol (
Sharding Design: Nightshade - NEAR Protocol (

NEAR の NightShade は、イーサリアムのように固定の数ではなく、ネットワーク負荷に応じて分割したり結合したりと動的なシャーディングを実装しています。

NightShade は、4つの段階を経て徐々に実装される予定になっており、2022年4月現在ではフェーズ0が完了しており、フェーズ1が2022年第二四半期に実装予定です。フェーズ0では4つのシャードに分割されましたが、トランザクションの検証はすべてのノードが参加して行っています。フェーズ1では、シャードの一部であるチャンクを作成できるChunk Only Producerという新しい種類のバリデーターが導入される予定です。Chunk Only Producer は従来のバリデーターに比べてステークする $NEAR の総量やハードウェアの要件が低く、バリデーターとして参入がしやすくなります。

ブロックチェーンのシャーディングは状態の有効性やデータの可用性の問題など非常に複雑で難易度が高いアプローチです。後述しますが、創業者がシャーディングやデータベースの分散化についてのバックグラウンドがあるからこそ挑戦できているのだと思います。

イーサリアムとの互換性がある

Aurora launches on NEAR Protocol
Aurora launches on NEAR Protocol

NEAR プロトコル上には「Aurora」という NEAR のチームが作った EVM 互換レイヤーがあります。Aurora を利用することで開発者は Ethereum で動いているスマートコントラクトを動かすことができるとともに、ユーザーは NEAR Protocol 上にあることから高速かつ低手数料で利用でき、手数料も独自トークンではなく$ETH で支払うことができます。Aurora のウォレットアドレスは Ethereum と同じものが使用できます。MetaMask に Aurora のネットワークを追加することで、ユーザーは簡単に $ETH と ERC-20 トークンを Ethereum と Aurora 間でブリッジすることができます。

ETH<>NEAR Rainbow Bridge
ETH<>NEAR Rainbow Bridge

また、NEAR、Aurora、Ethereum を相互に繋ぐ Rainbow Bridge というブリッジも公式で用意されています。NEAR と Ethereum 上にライトクライアント機能を持つスマートコントラクトをデプロイすることで、それぞれのバリデータをトラストするだけでアセットをブリッジすることができます。

カーボンニュートラル

コンセンサスアルゴリズムに PoW を採用しているブロックチェーンは、トランザクションの検証に大量の電力を消費することからサステイナブルではないとの批判が少なくないです。NEAR Protocol は PoS を採用していることから、PoW のようなエネルギー消費の問題を回避できることや、植林プロジェクトの支援など、ネットワーク全体でカーボンニュートラルを達成する取り組みを積極的におこなっています。

創業者はどんな人?

Alex Skidanov 氏

2009年から Microsoft に、2011年5月から2016年7月まで MemSQL(現 SingleStore)に勤めていました。MemSQLではシャーディングの実装を担当した経験がある他、データベースに関連する特許を多く持っています。

Illia Polosukhin 氏

2014年から2017年1月まで、Googleでディープラーニングと自然言語処理の研究者チームのマネジメントをしていました。また、Google の機械学習のライブラリ「TensorFlow」の開発をおこなっており、機械学習のスペシャリストと言えるでしょう。

ユニークなエコシステム

NEAR Protocol 上に構築されているエコシステムで他のチェーンとは違うユニークな点についてご紹介します。

NEAR Wallet

NEAR には、公式で「NEAR Wallet」というウォレットが用意されています。Metamask などのブラウザ拡張機能とは異なり、Webウォレットです。イーサリアムで言う ENS(Ethereum Name Service)のように、NEAR Wallet ではデフォルトで長い「0xA212DB9B46B...」のようなアドレスに代わって「○○○.near」という分かりやすいアドレスを取得することができます。アドレスは有効期間がなく、更新の必要もありません。web3初心者にも分かりやすいUXを重視する NEAR の思想が表れています。

Octopus Network

Octopus Network Whitepaper
Octopus Network Whitepaper

NEAR Protocol の上に、Octopus Network という AppChain (アプリケーション固有のブロックチェーンのこと) を起動、実行するためのマルチチェーンが乗っています。レイヤー1の上に Polkadot のようなチェーンを接続できるシステムが乗っているというのは、レイヤー1のスケーラビリティに依存しますし他では見られない例です。NEAR のシャーディング技術を信頼しての判断なのでしょう。

CEO に Marieke Flament 氏が就任

2021年12月に、NEAR Foundation の CEO に Marieke Flament 氏が就任しました。彼女はLVMH、ボストンコンサルティング、hotels.com といった経歴を持ち、Circle (USDCを作っている会社) ではCMOを勤めていました。ロンドンビジネススクールでMBAを取得している他、Shanghai Jiao Tong University で情報セキュリティの修士課程を修了しており、エンジニアでもあります。NEAR Protocol は技術力が評価されながらもマーケティングが苦手と言われることも多かったので、エコシステムを拡大するために外部からビジネスに強い(そして技術も分かる)リーダーを採用したのでしょう。

トークノミクス

NEAR Protocol では、取引手数料などに使われるネイティブトークンとして $NEAR を発行しています。トークンの発行上限数は 1,000,000,000 で、2022年4月現在の発行数は 679,412,414 NEAR です。毎年 5% が新規発行され、そのうち90%をステーキング報酬に割り当てています。

全体のトークンの割り当ては以下の表の通りになっています。

NEAR Token Supply and Distribution
NEAR Token Supply and Distribution

総論

NEAR の TVL は2022年4月現在で約 $500M となっており、2022年3月にはメインネットローンチ後から1億トランザクションを達成しました。しかし、依然多くの資金が集まっているプロジェクトは少なく、Defi Llama にも 5つしか載っていません。現状は NEAR というよりも Aurora に資金が集まっている状態で、Aurora の TVL は $1.24B と NEAR の倍以上あります。Bastion というレンディングサービスが出てきたことによって、USDC や DAI をステーキングできるようになりTVL が増加したというのが直近の動きです。まだまだ発展途上のチェーンですが、2021年10月には $800M を超えるエコシステム基金を設立したことを発表していることもあり、今後より多くのプロジェクトが NEAR Protocol を採用することが期待されます。

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